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  • 「音響」という畑違いの課題を前にとまどうドア開発チーム

    高い制振性能と軽量化の二律背反を解決した樹脂素材とは

    自動車メーカーY社 ドア設計部
解決のポイント
  1. 「ガラス繊維強化熱可塑性樹脂Sereebo® GF」は軽量化と高いNVH性能を両立させた樹脂材料
  2. 金属製インナーパネルから10~50%の軽量化を図りつつ、同等以上の音響性能を達成していた
  3. 高い成形自由度を活かして優れた音響性能の制振ドアインナーパネルを実現可能だった

解決

すでに軽量化と高い音響性能の両立を達成済み?チームが頼りにした素材メーカーとは

情報収集を進める中、A氏はある展示会のTeijin Automotive Technologiesブースにおいて、制振性能を高めた樹脂材料によるドアインナーパネルを紹介したプレゼンテーションを観ました。興味を持ったA氏は、早速同社にコンタクトを取り、より詳しい話を聞くことにしました。

Teijin Automotive Technologiesの担当者はY社に訪れると「Sereebo® GF」とその応用について説明しました。「Sereebo® GF」は、ガラス繊維を配合することによって特性を高めた成形用樹脂材料で、樹脂ならではの高い成形自由度と優れたNVH性能という特長を持っていました。

「すでにスピーカーメーカーと共同で樹脂製制振インナーパネルを開発して、金属製インナーパネルから10~50%の軽量化を図りつつ、同等以上の音響性能を達成しているとの説明に驚きました。そして、樹脂材料ならではの成形自由度を活かして『透過損失』『振動モード』『音圧周波数特性』に基づいた最適な形状を設計できるとのこと。優れた音響性能を維持しつつ、ドアを軽量化できるというのは非常に魅力的です」(A氏)

この樹脂製制振インナーパネルはインパルス応答FFT分析により、アルミ製より音の収束が早く(キレが良く)再現性の高い音響特性を発揮したとのことでした。また、担当者の話によれば、既にこの樹脂製制振インナーパネルの導入を進めている海外EVメーカーもあるそうです。

「海外メーカーは、すでに車内空間の音響環境に着目していたのです。遅れをとるわけにはいかない、と思いました」(A氏)

その後、A氏らの働きかけが実り、現在Y社はTeijin Automotive Technologiesと共同で、次世代EV向けの樹脂製制振インナーパネルの開発に向けた試作設計を行っています。「走るオーディオルーム」の実現は近いかもしれません。

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