複雑で美しいデザインを実現できる「GF-SMC」を採用
最適な素材を探すため、広く情報収集を進めていた担当者は、ある時、Teijin Automotive TechnologiesのGF-SMCが幾つかの海外の自動車メーカーに採用されている事例を発見し、さっそく問い合わせました。そして後日、D社の設計担当者は、スタイリングデザイナーおよび塗装プロセス担当、材料開発担当と共に、帝人東京本社のショールーム「テイジン未来スタジオ」を訪問。そこで、実際の外装部品をいくつか見せてもらいました。
「Teijin Automotive Technologiesは自動車生産の世界の主要エリアに生産拠点があり、グローバルTier1サプライヤーとして、各国で同質のサービス&サポートの提供が可能でした。このことは、私たちの開発・供給パートナーとして、これ以上ない条件でしたね」(O氏)
「Teijin Automotive TechnologiesのGF-SMC製部品は、鋼板製やアルミ製と比べると軽量であり、複雑で美しいデザインが成形できるとのことでした。実際に説明を聞きながら部品を手に取ってみたところ、他社のGF-SMCと比べてもはるかに質感がよかったですね」(K氏)
担当者に詳しい話を聞いてみると、Teijin automotive TechnologiesのGF-SMCは、従来のものと比べると低比重グレードもあること、また、金属材料と比較すると金型数が抑えられ、初期投資の削減も可能なことが分かりました。また、耐熱性が高く、鋼板と同様のオンライン塗装ができるとのことでした。
「また、生産拠点を米国・中国・欧州に保有しているとのことで、当社がグローバル展開していく際にも対応いただけるので安心しました。」(K氏)
設計開発部では、このGF-SMCがD社の要求を満たす可能性が高い素材であると判断。さっそく両社共同で材料評価を開始することにしました。
まず、コストの試算をしてみると、金型面数が一型で済むため、設備投資と工数の削減が可能であることが判明します。さらに材料評価を実施した結果、オンライン塗装が可能であるため、新規の設備投資を必要とせず、現行のラインをそのまま使用可能であることが確認できました。
高い形状自由度とプレミアムクラスの高外観を持ち合わせ、さらには軽量化も実現できる――D社では、検討に値する素材だと判断します。社内で検討を重ね、GF-SMCを使用した外板の試作ステージへと無事移行することができました。開発は現在も順調に進行しています。